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これだけは知っておきたい!相続・贈与

税理士 深代勝美 掲載日:2018年7月31日
相次相続控除
  税理士 深代勝美

1.相次相続控除とは

相次相続とは「そうじそうぞく」と読みます。相次いで相続が起こる、ということです。
相次相続とは、今回の相続における亡くなった人(被相続人)が過去10年以内に別の相続で財産を取得し相続税を納税していた場合に、前回被相続人が納税した相続税の一部を今回の相続税から控除できる特例です。
「別の相続で財産を取得し」というのは、正確には相続の他、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した場合を含みます。

2.相次相続控除の適用が受けられる人

相次相続控除が受けられるのは下記の3つの要件の全てに当てはまる人です。

  1. 被相続人の相続人であること
    この制度の適用対象者は、相続人に限定されていますので、相続の放棄をした人および相続権を失った人がたとえ遺贈により財産を取得しても、この制度は適用されません。
  2. 今回の相続の開始前10年以内に開始した別の相続により、被相続人が財産を取得していること
  3. 今回の相続の開始前10年以内に開始した別の相続により取得した財産について、被相続人に対し相続税が課税されたこと
    前回の相続で、妻が夫から財産を相続していた場合には、配偶者控除の適用により、相続税が課税されていないこともあります。

3.相次相続控除の額

各相続人の相次相続控除額は、次の算式により計算した金額です。
相次相続控除額=A×C/(B-A)×D/C×(10-E)/10

  1. 今回の被相続人が前回の相続の際に支払った相続税額
  2. 今回の被相続人が前回の相続の時に取得した財産の合計額(債務や葬儀費用を除いた金額)
  3. 今回の相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得したすべての人の財産の合計額(債務や葬儀費用を除いた金額)
  4. 今回の相続で、相次相続控除を受ける相続人が取得した財産の合計額
  5. 前の相続から今回の相続までの経過年数(1年未満は切り捨て)

上記Aの相続税額は、相続時精算課税分の贈与税額控除後の金額をいい、その被相続人が納税猶予の適用を受けていた場合の免除された相続税額ならびに延滞税、利子税および加算税の額は含まれません。
また、C/(B-A)が1より多い場合は、1として計算します。

この計算式の意味するところは、最初の相続から10年という短い期間に相続が発生した場合に相続税の負担が過重とならないように、前回の相続税額のうち1年について10%の割合で逓減した後の金額を控除しようとするものです。

4.相次相続控除の計算方法と具体例

先ほど3で見た計算式に具体例を当てはめて計算してみます。
<具体例>

・前回・祖父の相続開始・・・平成26年10月12日
・今回・父の相続開始・・・・平成30年8月4日
・今回の被相続人(父)が前回の相続で支払った相続税 = 3,000万円(A)
・今回の被相続人(父)が前回の相続でもらった財産価額 = 2億8,000万円(B)
・今回の相続における財産価額の合計額 = 1億8,000万円(C)
・今回の相続で相次相続控除をうける相続人が取得した財産価額 = 7,000万円(D)
・経過期間・・・平成26年10月12日〜30年8月4日=3年7か月24日経過
→1年未満は切捨てなので3年とする(E)

3,000万円×(1億8,000万円÷(2億8,000万円―3,000万円))×7,000万円÷1億8,000万円×(10年―3年)÷10年=588万円
となり、588万円を今回の相続の相続税から控除できることになります。

5.相次相続控除の注意点

  1. 当初申告要件がありません
    つまり、適用をしない状態での申告書を提出していても、後日修正申告や更正の請求を提出することにより適用を受けることができます。
    また、この特例を適用することで、相続人全員の相続税の納税額が0円になる場合には、今回の相続税の申告書は提出しなくてもかまいません。
  2. 遺産分割が未了の状態でも適用が可能です。
    未分割の財産がある申告書を提出する場合には、その未分割の財産については各相続人が法定相続分で取得したと仮定して相次相続控除の計算を行います。
  3. 被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人のうちに農地についての納税猶予の適用を受ける農業相続人がいる場合は、一部の計算が異なります。
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