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これだけは知っておきたい!相続・贈与

税理士 深代勝美 掲載日:2018年12月31日
生産緑地の2022年問題で土地区画整理事業を利用する
  税理士 深代勝美

1.生産緑地の2022年問題とは

生産緑地とは、都市計画で定められた市街化区域内の農地で『保全』を目的として都市計画で定められたものです。

生産緑地の約8割が1992年に指定されています。
生産緑地には、固定資産税、都市計画税が農地課税で大幅に安くなることや相続税の納税猶予制度の利用で相続税が大幅に安くなるというメリットがあります。逆にデメリットとして30年間は営農義務(相続の納税猶予は終身)があります。

また、解除の際にも生産緑地の解除要件には下記のような要件が必要になってます。

  1. 生産緑地地区の指定の日から30年を経過した時
  2. 農業の主たる従事者が死亡した時
  3. 農業の主たる従事者が農業への従事を不可能にさせる故障(けがや病気など)を有した時

2.生産緑地の活用で土地区画整理事業を利用する

生産緑地の約8割が2022年から指定解除可能になります。
それによりこれまでの営農義務から解放され土地売却が可能になります。
大量の土地が市場に供給され、需給のバランスが崩れ、地価が下落、空家の発生、地域環境の悪化の恐れが指摘されています。
実際には、この30年間で相続税の納税猶予を受けて終身営農が義務づけられている人も多くいますので、80%もの農地が大量に供給されるわけではないと言われています。

しかし、生産緑地を所有している方は、2022年までに大切な判断を迫られます。
適切な判断を行うには、将来の生活設計を展望し、様々な検討が必要になります。
今から検討・準備を進め、備えることが重要となります。
道路などを事前に整備することができれば資産価値を向上させることができます。

生産緑地の指定を受けていても、土地区画整理事業を用いて道路等、都市基盤を整備することで土地活用の幅を広げることが可能です。

3.土地区画整理事業とは?

土地の利用価値を高めるため、道路などの公共施設の新設や付替え・土地の再配置などを行い、土地の形を整えることです。

区画整理は、行政が行うもので大規模で時間がかかるものと思われているかと思いますが、短期間での実行も可能とされています。 地価の上昇が見込めない今日、未利用地・遊休地・農地の有効活用や資産運用を希望している方、相続対策に困っている方、土地の潜在価値に気づいていない方にとっては、区画整理は大いに役立つ手法となっております。

区画整理という手法は、権利者の資産運用の手段の一つとして考えることができます。

4.土地区画整理事業の仕組み

土地区画整理事業は以下のような仕組みで成り立っています。

  1. 権利者の土地を少しずつ出し合います(減歩)。
  2. 権利者で出し合った土地の一部を使い、道路や公園等を造り
    ※地区条件によっては、公共施設の整備がほとんどいらない事業も可能です(道路の付け替えだけ等)。
  3. 権利者の土地を配置し直したり形を整えたりして利用しやすくします(換地)。
  4. また、権利者で出し合った土地の一部を売却し、事業費を充てます(保留地)。
  5. 区画整理は、権利者1人から、小規模な土地でも実現可能です。
実施主体 概要
個人
(共同)
●権利者または権利者の同意を得た者が、1人で、または数人で共同して実施します。
※街中で行う低未利用地に係る小規模な区画整理を敷地整除型区画整理と呼ばれています。
組合 ●権利者が7人以上で土地区画整理組合を設立して実施します。
公共団体 ○主に市町村が実施します。
※数ha〜数十haなど、比較的大きな事業が多いです。

5.土地区画整理事業の利点

  1. 道路の付け替えなどの公共施設や宅地の再配置ができるため、土地の利用価値・資産価値が向上します。
    それにより使えなかった土地が、優良資産に変わります。
  2. 土地の移動、再配置等に係る下記のような各種税制が優遇されます。
    (1) 譲渡所得税
    (2) 不動産取得税
    (3) 登録免許税
    (4) 移転補償費が発生した場合、所得税の課税控除
  3. 生産緑地でも実施できます。
    「開発行為」では、生産緑地を含むことができませんが土地区画整理事業では問題ありません。
  4. 行政の補助を導入し、権利者の負担を軽減できる可能性があります。
    また、一定の条件を満たせば、道路等の基盤設備に要する費用に助成金を受けられることがあります。

6.区画整理事業を利用した事例

第140回 賃貸用共同住宅の付属駐車場の評価の検討 (2018年11月30日)
第139回 地積規模の大きな宅地の評価の考え方 (2018年10月31日)
第138回 相続時精算課税制度のおさらいと注意点 (2018年9月30日)
第137回 高額特定資産の簡易課税の適用の有無 (2018年8月31日)
第136回 相次相続控除 (2018年7月31日)
第135回 相続の限定承認のメリットと気を付けるべきポイント (2018年6月30日)
第134回 現金贈与を確実、効果的に実行するポイント (2018年5月31日)
第133回 事業承継における遺留分の検討 (2018年4月30日)
第132回 自筆証書遺言制度の改正案について (2018年3月31日)
第131回 相続人が不存在の場合のさまざまなポイント (2018年2月28日)
第130回 小規模宅地等の特例に関する改正について (2018年1月31日)
第129回 一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し (2017年12月31日)
第128回 生産緑地の2022年問題 (2017年11月30日)
第127回 歩道状空地の評価について (2017年10月31日)
第126回 会社名義で建物を建てる場合の地代の取り扱い (2017年9月30日)
第125回 相続分の譲渡 (2017年8月31日)
第124回 広大地の評価通達の改正予定 (2017年7月31日)
第123回 不動産譲渡で取得費が不明な場合の計算 (2017年6月30日)
第122回 法定相続情報証明制度について (2017年5月31日)
第121回 区分登記されている二世帯住宅の解消方法 (2017年4月30日)
第120回 市民農園として貸し付けられている農地の評価 (2017年3月31日)
第119回 預貯金を遺産分割の対象とした最高裁の決定について (2017年2月28日)
第118回 小規模宅地特例の適用には選択同意書が必要 (2017年1月31日)
第117回 2016年以降に建物を建築した場合の消費税還付 (2016年12月31日)
第116回 遺言書における債務(借入金)の負担者の記載 (2016年11月30日)
第115回 家族信託の活用法〜受益者連続型信託 (2016年10月31日)
第114回 遺留分を少なくする対策 (2016年9月30日)
第113回 不動産経営の落とし穴〜デッドクロス〜 (2016年8月31日)
第112回 相続人以外の者に財産を渡す場合の留意点 (2016年7月31日)
第111回 名義株とは (2016年6月30日)
第110回 夫婦間の譲渡価額は相続税評価額で問題ない? (2016年5月31日)
第109回 一般社団法人を不動産所有会社とするメリット (2016年4月30日)
第108回 義父の介護を行った長男の嫁に財産を渡す場合 (2016年3月31日)
第107回 「財産債務調書」提出制度がスタート (2016年2月29日)
第106回 父親から相続した空き家を売却すると譲渡税が安く (2016年1月31日)
第105回 消費税還付の見直し(2016年度税制改正大綱) (2015年12月31日)
第104回 養子縁組前に生まれていた孫の相続における取扱い (2015年11月30日)
第103回 賃貸用建物の取得と借入金の計上行為の計算を否認 (2015年10月31日)
第102回 調査対象に選ばれやすい相続税の申告書 (2015年9月30日)
第101回 子どもが住む自宅は誰名義で建てると有利か (2015年8月31日)
第100回 公益法人に相続財産を寄附した場合の取扱い (2015年7月31日)
第99回 親名義の建物に子が資出して増築する税金の扱い (2015年6月30日)
第98回 中古マンションを使った相続対策 (2015年5月31日)
第97回 不動産特定共同事業を利用した相続対策 (2015年4月30日)
第96回 タワーマンション購入の節税対策の否認事例 (2015年3月31日)
第95回 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税 (2015年2月28日)
第94回 小規模宅地等の特例の適用面積 (2015年1月31日)
第93回 更正の請求で広大地評価は可能か (2014年12月31日)
第92回 相続発生時の青色申告等の届出について (2014年11月30日)
第91回 誰が自宅の小規模宅地の評価減を受けるべきか (2014年10月31日)
第90回 遺言書に感謝の思いを付言事項として遺す (2014年9月30日)
第89回 二世帯住宅の居住用の小規模宅地等の特例 (2014年8月31日)
第88回 事業用定期借地権のおよぶ範囲 (2014年7月31日)
第87回 共同住宅の付属駐車場の貸家建付地評価 (2014年6月30日)
第86回 遺言書の活用方法 (2014年5月31日)
第85回 賃料の帰属先は遺産分割協議書に記載できる (2014年4月30日)
第84回 金融資産6,500万円を無税で贈与するスキーム (2014年3月31日)
第83回 小規模宅地の課税価格の計算の特例 (2014年2月28日)
第82回 相続税の取得費加算制度の見直し (2014年1月31日)
第81回 『国外財産調書』の提出制度について (2013年12月30日)
第80回 海外財産の相続税の評価は (2013年11月30日)
第79回 信託を活用した節税スキーム (2013年10月31日)
第78回 不動産管理会社の税務調査のポイント (2013年9月30日)
第77回 賢い物納利用 (2013年8月31日)
第76回 教育資金の一括贈与の非課税について (2013年7月31日)
第75回 管理会社に売却しても相続税を増やさない方法 (2013年6月28日)
第74回 ゴルフ会員権・リゾートクラブ会員権の評価 (2013年5月31日)
第73回 相続税の税務調査の事前対処方法 (2013年4月30日)
第72回 2013年度小規模宅地等の特例の改正 (2013年3月26日)
第71回 教育資金の一括贈与の非課税について (2013年2月26日)
第70回 書面添付制度のメリット拡大 (2013年1月31日)
第69回 信託を利用した生前贈与 (2012年12月26日)
第68回 庭内神し(ていないしんし)の新たな取扱い (2012年11月30日)
第67回 相続発生後の不動産管理会社の見直し (2012年10月31日)
第66回 賃貸住宅の消費税と増税対策のポイント (2012年9月30日)
第65回 相続税更正の請求が改正 (2012年8月30日)
第64回 二次相続税対策について考える (2012年7月31日)
第63回 相続人が複数いる場合の消費税の判定 (2012年6月29日)
第62回 死因贈与契約による遺産承継 (2012年5月31日)
第61回 賃貸住宅を建築した場合の固定資産税 (2012年4月30日)
第60回 不動産管理会社を活用した節税 (2012年3月30日)
第59回 不動産所得の確定申告 (2012年2月28日)
第58回 2012年度税制改正大綱について (2012年1月31日)
第57回 貸店舗を建設した際、協力金の税務上の扱い (2011年12月28日)
第56回 居住形態と小規模宅地の特例の適用 (2011年11月28日)
第55回 相続税の取得費加算を有効に使う (2011年10月31日)
第54回 同族会社への貸付金がある場合の相続税対策(下) (2011年9月30日)
第53回 同族会社への貸付金がある場合の相続税対策(上) (2011年8月31日)
第52回 サービス付き高齢者住宅供給促進税制について (2011年7月29日)
第51回 成年後見制度と相続対策 (2011年6月30日)
第50回 小規模企業共済を利用した節税対策 (2011年5月30日)
第49回 相続時精算課税制度の活用方法 (2011年4月28日)
第48回 税制改正で生前贈与がより重要に (2011年3月31日)
第47回 2011年度税制改正に対応した相続税対策 (2011年2月28日)
第46回 子と孫への贈与に優遇税率が新設される (2011年1月31日)
第45回 2011年度税制改正 (2010年12月29日)
第44回 法定相続分の譲渡 (2010年11月30日)
第43回 不動産管理会社は管理から所有に (2010年10月29日)
第42回 不動産管理会社を利用した相続対策 (2010年9月30日)
第41回 2010年度の消費税改正について (2010年8月31日)
第40回 相続があった場合には消費税の申告 (2010年7月30日)
第39回 遺産分割と相続税の申告 (2010年6月30日)
第38回 賃貸マンション新築中に相続が発生した場合の評価 (2010年5月24日)
第37回 延納利子税・納税借入金の利息を経費にする! (2010年4月30日)
第36回 小規模宅地等の特例の改正 (2010年3月31日)
第35回 信託を利用した遺言の方法 (2010年2月28日)
第34回 住宅取得等資金の贈与の改正案について (2010年1月31日)
第33回 定期金の相続税評価と改正 (2009年12月31日)
第32回 相続放棄の申述と相続税の基礎控除 (2009年11月30日)
第31回 遺留分の減殺請求はどのようにするのか (2009年10月30日)
第30回 遺留分の減殺請求をどのように解決したら良いか (2009年9月30日)
第29回 相続税の延納とは? (2009年8月31日)
第28回 住宅取得等資金の贈与「500万円非課税制度」 (2009年7月31日)
第27回 相続税法における養子の取り扱いとは? (2009年6月30日)
第26回 相続税の税務調査のポイント (2009年5月29日)
第25回 生命保険はどのように課税されるか (2009年4月30日)
第24回 遺留分ってどんな制度 (2009年3月31日)
第23回 生前贈与する場合、いくら贈与するのが有利か (2009年2月28日)
第22回 銀行の取引停止〜本人名義の預金が凍結される〜 (2009年1月30日)
第21回 非上場株式等に係る相続税の納税猶予 (2008年12月30日)
第20回 新課税方式で相続税対策はどうかわるか (2008年11月28日)
第19回 遺言と異なる遺産分割の可能性 (2008年10月31日)
第18回 債務(借入金)の相続とは? (2008年9月30日)
第17回 農地等を相続した時の納税猶予 (2008年8月31日)
第16回 建物の利用状況で、土地の相続税評価額が変わる。 (2008年7月28日)
第15回 相続税は親子別居していると高くなる? (2008年6月30日)
第14回 遺言の必要性 (2008年5月30日)
第13回 相続税の調査のポイント (2008年4月28日)
第12回 相続税の課税方式が変更になる? (2008年3月28日)
第11回 広大地評価が利用できると、相続税が安くなる (2008年2月27日)
第10回 親族間の借金と贈与税 (2008年1月29日)
第9回 遺言書の種類と方法 (2007年12月28日)
第8回 物納・延納の改正 (2007年11月30日)
第7回 相続時精算課税制度を利用した贈与方法 (2007年10月30日)
第6回 賢い相続税対策の取り組み方 (2007年9月30日)
第5回 税務署からの「お尋ね」についての対応 (2007年8月23日)
第4回 相続した土地を売却した場合、譲渡税はどうなるか? (2007年7月31日)
第3回 申告期限までに、遺産分割がまとまらなかったら? (2007年6月26日)
第2回 申告後に、土地評価で疑問を感じたら? (2007年5月25日)
第1回 夫婦間の贈与は税金が安い (2007年4月27日)