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これだけは知っておきたい!相続・贈与

税理士 深代勝美 掲載日:2019年8月31日
遺留分減殺請求権が遺留分侵害額に
  税理士 深代勝美

民法第1044条(遺留分の計算の基準となる贈与)

  1. 贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、1年前の日より前にしたものについても、同様とする。
  2. 第904条(特別受益者)の規定は、前項に規定する贈与の価額について準用する。
  3. 相続人に対する贈与についての第1項の規定の適用については、同項中「1年」とあるのは「10年」と、「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る)。」とする。

民法第1046条(遺留分侵害額の請求)

  1. 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
  2. 遺留分侵害額は、第1042条の規定による遺留分から第1号及び第2号に掲げる額を控除し、これに第3号に掲げる額を加算して算定する。
一.遺留分権利者が受けた遺贈又は第903条第1項に規定する贈与の価額 二.第900条から第902条まで、第903条及び第904条の規定により算定した相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額 三.被相続人が相続開始の時において有した債務のうち、第899条の規定により遺留分権利者が承継する債務(次条第3項において「遺留分権利者承継債務」という)。の額

遺留分侵害額=(遺留分の額)−(遺留分権利者が受けた特別受益の額903条@)−(遺産分割の対象財産がある場合(既に遺産分割が終了している場合も含む)には具体的相続分に応じて取得すべき遺産の額(ただし、寄与分による修正は考慮しない))+(899条の規定により遺留分権利者が承継する相続債務の額)

中小企業の事業承継に関わる民法(相続法)の見直しのポイント

  • 相続人に対する贈与は相続開始前10年間分だけを遺留分の対象に(民法1044条)
    ⇒自社企業や工場などの早期贈与で事業承継が円滑に
  • 贈与を受けた相続人は遺留分の権利者に対し、その侵害財産を株式などの現物ではなく、遺留分相当額を金銭で支払いが可能に(民法1046条)
    ⇒自社株式や工場などの分散防止で事業承継が円滑に

事業承継対策がしやすくなった

  1. 遺留分減殺請求権の行使により共有関係が当然に発生することを回避することができる。
  2. 遺贈や贈与の目的財産を受遺者等に与えたという遺言者の意思を尊重することができる。
  3. 受遺者または受贈者は、遺留分侵害額の請求に対し、現物による返還を選択することはできない。

遺留分の法的性質の見直し

  1. 「遺留分減殺請求権」は「遺留分侵害額請求権」になった。
  2. 遺留分権利者は、受遺者または受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の 支払いを請求することができる(民法1046@)
      ⇒物権的効力から債権的効力に変更された。⇒金銭債権化 ⇒譲渡税が課税。

※遺留分侵害額を金銭で支払うことができずに、不動産等を遺留分権利者に渡した場合には代物弁済(民法482条)となる。また、遺留分侵害額を請求された相続人に対しては譲渡となるため、譲渡所得税が課税されることになる。

【所得税基本通達33-1の6】 金銭以外は譲渡課税

(遺留分侵害額の請求に基づく金銭の支払に代えて行う資産の移転) 33-1の6
民法第1046条第1項《遺留分侵害額の請求》の規定による遺留分侵害額に相当する金銭の支払請求があった場合において、金銭の支払に代えて、その債務の全部又は一部の履行として資産(当該遺留分侵害額に相当する金銭の支払請求の起因となった遺贈又は贈与により取得したものを含む。)の移転があったときは、その履行をした者は、原則として、その履行があった時においてその履行により消滅した債務の額に相当する価額により当該資産を譲渡したこととなる。
(注)当該遺留分侵害額に相当する金銭の支払請求をした者が取得した資産の取得費については、38-7の2参照

【所得税基本通達38−7の2】 不動産の場合の取得費の金額

(遺留分侵害額の請求に基づく金銭の支払に代えて移転を受けた資産の取得費) 38-7の2
民法第1046条第1項の規定による遺留分侵害額に相当する金銭の支払請求があった場合において、金銭の支払に代えて、その債務の全部又は一部の履行として資産の移転があったときは、その履行を受けた者は、原則として、その履行があった時においてその履行により消滅した債権の額に相当する価額により当該資産を取得したこととなる。
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第77回 賢い物納利用 (2013年8月31日)
第76回 教育資金の一括贈与の非課税について (2013年7月31日)
第75回 管理会社に売却しても相続税を増やさない方法 (2013年6月28日)
第74回 ゴルフ会員権・リゾートクラブ会員権の評価 (2013年5月31日)
第73回 相続税の税務調査の事前対処方法 (2013年4月30日)
第72回 2013年度小規模宅地等の特例の改正 (2013年3月26日)
第71回 教育資金の一括贈与の非課税について (2013年2月26日)
第70回 書面添付制度のメリット拡大 (2013年1月31日)
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第68回 庭内神し(ていないしんし)の新たな取扱い (2012年11月30日)
第67回 相続発生後の不動産管理会社の見直し (2012年10月31日)
第66回 賃貸住宅の消費税と増税対策のポイント (2012年9月30日)
第65回 相続税更正の請求が改正 (2012年8月30日)
第64回 二次相続税対策について考える (2012年7月31日)
第63回 相続人が複数いる場合の消費税の判定 (2012年6月29日)
第62回 死因贈与契約による遺産承継 (2012年5月31日)
第61回 賃貸住宅を建築した場合の固定資産税 (2012年4月30日)
第60回 不動産管理会社を活用した節税 (2012年3月30日)
第59回 不動産所得の確定申告 (2012年2月28日)
第58回 2012年度税制改正大綱について (2012年1月31日)
第57回 貸店舗を建設した際、協力金の税務上の扱い (2011年12月28日)
第56回 居住形態と小規模宅地の特例の適用 (2011年11月28日)
第55回 相続税の取得費加算を有効に使う (2011年10月31日)
第54回 同族会社への貸付金がある場合の相続税対策(下) (2011年9月30日)
第53回 同族会社への貸付金がある場合の相続税対策(上) (2011年8月31日)
第52回 サービス付き高齢者住宅供給促進税制について (2011年7月29日)
第51回 成年後見制度と相続対策 (2011年6月30日)
第50回 小規模企業共済を利用した節税対策 (2011年5月30日)
第49回 相続時精算課税制度の活用方法 (2011年4月28日)
第48回 税制改正で生前贈与がより重要に (2011年3月31日)
第47回 2011年度税制改正に対応した相続税対策 (2011年2月28日)
第46回 子と孫への贈与に優遇税率が新設される (2011年1月31日)
第45回 2011年度税制改正 (2010年12月29日)
第44回 法定相続分の譲渡 (2010年11月30日)
第43回 不動産管理会社は管理から所有に (2010年10月29日)
第42回 不動産管理会社を利用した相続対策 (2010年9月30日)
第41回 2010年度の消費税改正について (2010年8月31日)
第40回 相続があった場合には消費税の申告 (2010年7月30日)
第39回 遺産分割と相続税の申告 (2010年6月30日)
第38回 賃貸マンション新築中に相続が発生した場合の評価 (2010年5月24日)
第37回 延納利子税・納税借入金の利息を経費にする! (2010年4月30日)
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第35回 信託を利用した遺言の方法 (2010年2月28日)
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第4回 相続した土地を売却した場合、譲渡税はどうなるか? (2007年7月31日)
第3回 申告期限までに、遺産分割がまとまらなかったら? (2007年6月26日)
第2回 申告後に、土地評価で疑問を感じたら? (2007年5月25日)
第1回 夫婦間の贈与は税金が安い (2007年4月27日)