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これだけは知っておきたい!相続・贈与

税理士 深代勝美 掲載日:2020年5月31日
民法改正で、賃貸借契約に関するルールが明確に
  税理士 深代勝美

賃借人の原状回復義務の明確化(改正民法 621 条)

賃貸借契約が終了した場合には,賃借人は,賃借物を原状(元の状態)に戻して賃貸人に返還しなければならないと解されています。しかし,これらのルールは改正前の民法の文言上は明確ではありませんでした。
改正後の民法では,賃借人は,賃借物を受け取った後に生じた損傷について原状回復義務を負うこと,しかし,通常損耗や経年変化については賃借人は原状回復義務を負わないことを明記しました。


賃借中に借り手が修繕が可能な場合(改正民法 607 条の 2)

事例1

Aさんは,Bさんから家を借りて住んでいる。備付けのエアコンが故障したため,Aさんは,Bさんに対してたびたび修理を依頼しているが,なかなか修理してくれない

事例2

Aさんは,Bさんから家を借りて住んでいるが,台風で屋根が損傷し,雨漏りがするようになった。次の台風が接近しており,早く修理したい

借りている建物が雨漏りするなど,修繕が必要な場合でも,賃借物はあくまで賃貸人のものですから,賃借人が勝手に手を加えることはできませんでした 。しかし,実際に賃借物を使っているのは賃借人ですから,賃借人が修繕することができないのは、不便です。 民法改正で,次のように場合には、 賃借人が修繕することができるようになりました

<修繕が可能な場合>

@ 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知したか,又は賃貸人がその旨を知ったのに,賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき
A 差し迫った事情があるとき

敷金ルールの明確化(改正民法 622 条の 2)

事例3

Aさんは,Bさんから家を借りた際に「保証金」という名目で賃料債務等の担保として金銭を差し入れていた。賃貸借契約が終了し,Aさんはこの家を退去したが,賃料の未払等はないのに,Bさんは差し入れた金銭を返還してくれない。

改正前の民法には,敷金の定義や敷金返還請求権の発生時期についての規定はありませんでした。 改正後の民法で,敷金を「いかなる名目によるかを問わず,賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で,賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義しました。
つまり、賃貸借契約が終了して賃借物が返還された時点で敷金を返還しなければならないこと,その返却する金額は受領した敷金の額からそれまでに生じた未払賃料や借り手が負担すべき修繕費の額を控除した残額であることを明確化しました。

(参考文献:法務省「賃貸借契約ルールの見直し」)

第157回 民法改正で遺言書に借入金負担者の記載が重要に (2020年4月30日)
第156回 法務局における自筆証書遺言書保管制度について (2020年3月31日)
第155回 居住用建物の消費税還付の封じ込め (2020年2月29日)
第154回 資産の組替えによる相続対策 (2020年1月31日)
第153回 海外不動産による節税の封じ込め (2019年12月31日)
第152回 故人の預金が換金可能に (2019年11月30日)
第151回 配偶者居住権の具体的計算 (2019年10月31日)
第150回 配偶者居住権について (2019年9月30日)
第149回 遺留分減殺請求権が遺留分侵害額に (2019年8月31日)
第148回 親子間売買による相続税対策 (2019年7月31日)
第147回 期限後申告の小規模宅地等の特例の適用 (2019年6月30日)
第146回 小規模宅地等の特例における特定事業用宅地等の見直し (2019年5月31日)
第145回 父が亡くなり、すぐに母が亡くなった場合(数次相続) (2019年4月30日)
第144回 空き家に係る譲渡所得の特別控除の延長 (2019年3月31日)
第143回 特別寄与料制度の創設 (2019年2月28日)
第142回 土地の無償返還に関する届出書を出し忘れている土地 (2019年1月31日)
第141回 生産緑地の2022年問題で土地区画整理事業を利用 (2018年12月31日)
第140回 賃貸用共同住宅の付属駐車場の評価の検討 (2018年11月30日)
第139回 地積規模の大きな宅地の評価の考え方 (2018年10月31日)
第138回 相続時精算課税制度のおさらいと注意点 (2018年9月30日)
第137回 高額特定資産の簡易課税の適用の有無 (2018年8月31日)
第136回 相次相続控除 (2018年7月31日)
第135回 相続の限定承認のメリットと気を付けるべきポイント (2018年6月30日)
第134回 現金贈与を確実、効果的に実行するポイント (2018年5月31日)
第133回 事業承継における遺留分の検討 (2018年4月30日)
第132回 自筆証書遺言制度の改正案について (2018年3月31日)
第131回 相続人が不存在の場合のさまざまなポイント (2018年2月28日)
第130回 小規模宅地等の特例に関する改正について (2018年1月31日)
第129回 一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し (2017年12月31日)
第128回 生産緑地の2022年問題 (2017年11月30日)
第127回 歩道状空地の評価について (2017年10月31日)
第126回 会社名義で建物を建てる場合の地代の取り扱い (2017年9月30日)
第125回 相続分の譲渡 (2017年8月31日)
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第123回 不動産譲渡で取得費が不明な場合の計算 (2017年6月30日)
第122回 法定相続情報証明制度について (2017年5月31日)
第121回 区分登記されている二世帯住宅の解消方法 (2017年4月30日)
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第117回 2016年以降に建物を建築した場合の消費税還付 (2016年12月31日)
第116回 遺言書における債務(借入金)の負担者の記載 (2016年11月30日)
第115回 家族信託の活用法〜受益者連続型信託 (2016年10月31日)
第114回 遺留分を少なくする対策 (2016年9月30日)
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第110回 夫婦間の譲渡価額は相続税評価額で問題ない? (2016年5月31日)
第109回 一般社団法人を不動産所有会社とするメリット (2016年4月30日)
第108回 義父の介護を行った長男の嫁に財産を渡す場合 (2016年3月31日)
第107回 「財産債務調書」提出制度がスタート (2016年2月29日)
第106回 父親から相続した空き家を売却すると譲渡税が安く (2016年1月31日)
第105回 消費税還付の見直し(2016年度税制改正大綱) (2015年12月31日)
第104回 養子縁組前に生まれていた孫の相続における取扱い (2015年11月30日)
第103回 賃貸用建物の取得と借入金の計上行為の計算を否認 (2015年10月31日)
第102回 調査対象に選ばれやすい相続税の申告書 (2015年9月30日)
第101回 子どもが住む自宅は誰名義で建てると有利か (2015年8月31日)
第100回 公益法人に相続財産を寄附した場合の取扱い (2015年7月31日)
第99回 親名義の建物に子が資出して増築する税金の扱い (2015年6月30日)
第98回 中古マンションを使った相続対策 (2015年5月31日)
第97回 不動産特定共同事業を利用した相続対策 (2015年4月30日)
第96回 タワーマンション購入の節税対策の否認事例 (2015年3月31日)
第95回 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税 (2015年2月28日)
第94回 小規模宅地等の特例の適用面積 (2015年1月31日)
第93回 更正の請求で広大地評価は可能か (2014年12月31日)
第92回 相続発生時の青色申告等の届出について (2014年11月30日)
第91回 誰が自宅の小規模宅地の評価減を受けるべきか (2014年10月31日)
第90回 遺言書に感謝の思いを付言事項として遺す (2014年9月30日)
第89回 二世帯住宅の居住用の小規模宅地等の特例 (2014年8月31日)
第88回 事業用定期借地権のおよぶ範囲 (2014年7月31日)
第87回 共同住宅の付属駐車場の貸家建付地評価 (2014年6月30日)
第86回 遺言書の活用方法 (2014年5月31日)
第85回 賃料の帰属先は遺産分割協議書に記載できる (2014年4月30日)
第84回 金融資産6,500万円を無税で贈与するスキーム (2014年3月31日)
第83回 小規模宅地の課税価格の計算の特例 (2014年2月28日)
第82回 相続税の取得費加算制度の見直し (2014年1月31日)
第81回 『国外財産調書』の提出制度について (2013年12月30日)
第80回 海外財産の相続税の評価は (2013年11月30日)
第79回 信託を活用した節税スキーム (2013年10月31日)
第78回 不動産管理会社の税務調査のポイント (2013年9月30日)
第77回 賢い物納利用 (2013年8月31日)
第76回 教育資金の一括贈与の非課税について (2013年7月31日)
第75回 管理会社に売却しても相続税を増やさない方法 (2013年6月28日)
第74回 ゴルフ会員権・リゾートクラブ会員権の評価 (2013年5月31日)
第73回 相続税の税務調査の事前対処方法 (2013年4月30日)
第72回 2013年度小規模宅地等の特例の改正 (2013年3月26日)
第71回 教育資金の一括贈与の非課税について (2013年2月26日)
第70回 書面添付制度のメリット拡大 (2013年1月31日)
第69回 信託を利用した生前贈与 (2012年12月26日)
第68回 庭内神し(ていないしんし)の新たな取扱い (2012年11月30日)
第67回 相続発生後の不動産管理会社の見直し (2012年10月31日)
第66回 賃貸住宅の消費税と増税対策のポイント (2012年9月30日)
第65回 相続税更正の請求が改正 (2012年8月30日)
第64回 二次相続税対策について考える (2012年7月31日)
第63回 相続人が複数いる場合の消費税の判定 (2012年6月29日)
第62回 死因贈与契約による遺産承継 (2012年5月31日)
第61回 賃貸住宅を建築した場合の固定資産税 (2012年4月30日)
第60回 不動産管理会社を活用した節税 (2012年3月30日)
第59回 不動産所得の確定申告 (2012年2月28日)
第58回 2012年度税制改正大綱について (2012年1月31日)
第57回 貸店舗を建設した際、協力金の税務上の扱い (2011年12月28日)
第56回 居住形態と小規模宅地の特例の適用 (2011年11月28日)
第55回 相続税の取得費加算を有効に使う (2011年10月31日)
第54回 同族会社への貸付金がある場合の相続税対策(下) (2011年9月30日)
第53回 同族会社への貸付金がある場合の相続税対策(上) (2011年8月31日)
第52回 サービス付き高齢者住宅供給促進税制について (2011年7月29日)
第51回 成年後見制度と相続対策 (2011年6月30日)
第50回 小規模企業共済を利用した節税対策 (2011年5月30日)
第49回 相続時精算課税制度の活用方法 (2011年4月28日)
第48回 税制改正で生前贈与がより重要に (2011年3月31日)
第47回 2011年度税制改正に対応した相続税対策 (2011年2月28日)
第46回 子と孫への贈与に優遇税率が新設される (2011年1月31日)
第45回 2011年度税制改正 (2010年12月29日)
第44回 法定相続分の譲渡 (2010年11月30日)
第43回 不動産管理会社は管理から所有に (2010年10月29日)
第42回 不動産管理会社を利用した相続対策 (2010年9月30日)
第41回 2010年度の消費税改正について (2010年8月31日)
第40回 相続があった場合には消費税の申告 (2010年7月30日)
第39回 遺産分割と相続税の申告 (2010年6月30日)
第38回 賃貸マンション新築中に相続が発生した場合の評価 (2010年5月24日)
第37回 延納利子税・納税借入金の利息を経費にする! (2010年4月30日)
第36回 小規模宅地等の特例の改正 (2010年3月31日)
第35回 信託を利用した遺言の方法 (2010年2月28日)
第34回 住宅取得等資金の贈与の改正案について (2010年1月31日)
第33回 定期金の相続税評価と改正 (2009年12月31日)
第32回 相続放棄の申述と相続税の基礎控除 (2009年11月30日)
第31回 遺留分の減殺請求はどのようにするのか (2009年10月30日)
第30回 遺留分の減殺請求をどのように解決したら良いか (2009年9月30日)
第29回 相続税の延納とは? (2009年8月31日)
第28回 住宅取得等資金の贈与「500万円非課税制度」 (2009年7月31日)
第27回 相続税法における養子の取り扱いとは? (2009年6月30日)
第26回 相続税の税務調査のポイント (2009年5月29日)
第25回 生命保険はどのように課税されるか (2009年4月30日)
第24回 遺留分ってどんな制度 (2009年3月31日)
第23回 生前贈与する場合、いくら贈与するのが有利か (2009年2月28日)
第22回 銀行の取引停止〜本人名義の預金が凍結される〜 (2009年1月30日)
第21回 非上場株式等に係る相続税の納税猶予 (2008年12月30日)
第20回 新課税方式で相続税対策はどうかわるか (2008年11月28日)
第19回 遺言と異なる遺産分割の可能性 (2008年10月31日)
第18回 債務(借入金)の相続とは? (2008年9月30日)
第17回 農地等を相続した時の納税猶予 (2008年8月31日)
第16回 建物の利用状況で、土地の相続税評価額が変わる。 (2008年7月28日)
第15回 相続税は親子別居していると高くなる? (2008年6月30日)
第14回 遺言の必要性 (2008年5月30日)
第13回 相続税の調査のポイント (2008年4月28日)
第12回 相続税の課税方式が変更になる? (2008年3月28日)
第11回 広大地評価が利用できると、相続税が安くなる (2008年2月27日)
第10回 親族間の借金と贈与税 (2008年1月29日)
第9回 遺言書の種類と方法 (2007年12月28日)
第8回 物納・延納の改正 (2007年11月30日)
第7回 相続時精算課税制度を利用した贈与方法 (2007年10月30日)
第6回 賢い相続税対策の取り組み方 (2007年9月30日)
第5回 税務署からの「お尋ね」についての対応 (2007年8月23日)
第4回 相続した土地を売却した場合、譲渡税はどうなるか? (2007年7月31日)
第3回 申告期限までに、遺産分割がまとまらなかったら? (2007年6月26日)
第2回 申告後に、土地評価で疑問を感じたら? (2007年5月25日)
第1回 夫婦間の贈与は税金が安い (2007年4月27日)