相続.co.jpは、相続・遺言・贈与など、相続に関連する情報を配信しています。
TOP > 相続プロのアドバイス > これだけは知っておきたい!相続・贈与
サイトメニュー
譲る・分ける
納める
遺す
備える
トラブル
知る
学ぶ
土地の適正評価をマスターする動画セミナー

相続WEB

相続のことなら専門家にご相談ください 相続プロフェッショナルデータファイル 相続の専門家をお探しの方はこちら!

これだけは知っておきたい!相続・贈与

税理士 深代勝美 掲載日:2008年12月30日
非上場株式等に係る相続税の納税猶予
  税理士 深代勝美

今月12日に平成21年度与党税制改正大綱が発表されました。
相続税については、約50年ぶりとなる遺産取得課税への抜本的な改正が以前より話題になっていましたが、結論的には今回の改正では見送られることになりました。しかし、今回の改正の中では「非上場株式等に係る相続税の納税猶予」が創設されることになります。
今回はその新設される株式の納税猶予についてご説明いたします。

(1)制度の概要

@  納税猶予制度
今回創設されるのは、「中小企業の後継者が株式の相続を受けた場合には、その後継者の相続税のうち、その株式に係る80%部分の納税を猶予する」という制度です。

納税猶予というのは、その名の通り、納税を猶予するということで、納税の繰り延べにすぎず、相続税そのものが減額となるわけではありません。しかし、相続税納付時における後継者の負担を軽くし、次世代への事業承継を円滑に進める効果が期待されます。

A  対象法人
対象となる企業は、製造業で資本金3億円以下または従業員300人以下など。中小企業基本法上の非上場の中小企業です。

B  対象株式
納税猶予の対象となる株式は、相続前から後継者が既に保有していた議決権株式を含めて、その会社の発行済議決権株式総数の3分の2に達するまでの部分となります。つまり、相続により会社の株式を100%相続した場合にも、納税猶予の対象となるのは、その3分の2までの部分となります。

C  適用要件
この特例を受ける後継者は、相続開始後5年間はその法人の株式を保有し、かつ代表者として事業を継続し、従業員の8割以上の雇用を維持しなければいけない等の条件があります。

D  納税の免除
納税猶予を受けた相続税については、その後継者が死亡した場合や、5年間の事業継続後に会社が破産した場合、次の後継者にその株式を一括贈与した場合等には納税が免除されます。

E  適用開始時期
この規定は経営承継円滑化法の施行日である平成20年10月1日以降に開始した相続からさかのぼって適用となります。

F  小規模宅地等の評価減額との関係
納税猶予の適用を受ける場合も、さらに小規模宅地等についての減額の特例を受けることが出来ます。

G  贈与税の納税猶予
事業承継のより一層の円滑化を図るため、今回相続税の納税猶予が創設されたのと同時に、生前贈与による株式の承継についても贈与税の納税猶予の制度が創設されました。

(2)納税猶予額の計算

@納税猶予の適用が無いものとして、通常の相続税の計算を行い、各相続人の相続税額を計算します。後継者以外の相続税はこれで確定します。

A後継者以外の財産はそのままに、後継者がその株式等のみを相続するものとして計算した場合の後継者の相続税額を計算します。

B後継者以外の財産はそのままに、後継者がその株式等のうち20%部分のみを相続するものとして計算した場合の後継者の相続税額を計算します。

C上記AとBの差額が、後継者の納税猶予額となります。

Dよって、申告期限までに後継者が納付すべき相続税は、@とCの差額となります。

(3)具体的計算例

ここでは(2)の計算手順に従い、具体的な計算をしていきたいと思います。
(計算の前提)
・相続人は、子Aと子Bの2人(基礎控除額が7,000万円)
・相続した遺産は、子Aが3億円、子Bが3億円。
子Bが相続した3億円の内訳は、納税猶予の対象となる株式(発行済株式総数の3分の2以下)が2億円、その他の財産が1億円とします。

@  通常の相続税の計算

課税遺産額 3億円+3億円−7,000万円=5億3000万円
相続税の総額 5億3,000万円×1/2×40%−1,700万円=8,900万円
8,900万円×2=1億7,800万円
子Aの相続税 1億7,800万円×3億円/(3億円+3億円)=8,900万円
子Bの相続税 1億7,800万円×3億円/(3億円+3億円)=8,900万円

A  子Bは株式のみを相続したものとして、税額を計算

課税遺産額 3億円+2億円−7,000万円=4億3,000万円
相続税の総額 4億3,000万円×1/2×40%−1,700万円=6,900万円
6,900万円×2=1億3,800万円
子Bの相続税 1億3,800万円×2億円/(3億円+2億円)=5,520万円

B  子Bが株式のうち20%(2億円×20%=4,000万円)のみを相続したものとして、税額を計算

課税遺産額 3億円+2億円×20%−7,000万円=2億7,000万円
相続税の総額 2億7,000万円×1/2×40%−1,700万円=3,700万円
3,700万円×2=7,400万円
子Bの相続税 7,400万円×4,000万円/(3億円+4,000万円)=870万円

C  納税猶予額の計算

5,520万円−870万円=4,650万円

D  申告期限までに子Bが納税する相続税額

8,900万円−4,650万円=4,250万円
第20回 新課税方式で相続税対策はどうかわるか (2008年11月28日)
第19回 遺言と異なる遺産分割の可能性 (2008年10月31日)
第18回 債務(借入金)の相続とは? (2008年9月30日)
第17回 農地等を相続した時の納税猶予 (2008年8月31日)
第16回 建物の利用状況で、土地の相続税評価額が変わる。 (2008年7月28日)
第15回 相続税は親子別居していると高くなる? (2008年6月30日)
第14回 遺言の必要性 (2008年5月30日)
第13回 相続税の調査のポイント (2008年4月28日)
第12回 相続税の課税方式が変更になる? (2008年3月28日)
第11回 広大地評価が利用できると、相続税が安くなる (2008年2月27日)
第10回 親族間の借金と贈与税 (2008年1月29日)
第9回 遺言書の種類と方法 (2007年12月28日)
第8回 物納・延納の改正 (2007年11月30日)
第7回 相続時精算課税制度を利用した贈与方法 (2007年10月30日)
第6回 賢い相続税対策の取り組み方 (2007年9月30日)
第5回 税務署からの「お尋ね」についての対応 (2007年8月23日)
第4回 相続した土地を売却した場合、譲渡税はどうなるか? (2007年7月31日)
第3回 申告期限までに、遺産分割がまとまらなかったら? (2007年6月26日)
第2回 申告後に、土地評価で疑問を感じたら? (2007年5月25日)
第1回 夫婦間の贈与は税金が安い (2007年4月27日)