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これだけは知っておきたい!相続・贈与

税理士 深代勝美 掲載日:2011年2月28日
2011年度税制改正に対応した相続税対策
  税理士 深代勝美

毎年110万円の現預金贈与でも毎年確実に実行するのは難しいものです。いざ、実行してみても、なかなか財産が減らないという方も多いのではないでしょうか。多少の贈与税を払ってでも積極的に財産を減らしたい、しかし具体的にいくらを贈与すればよいかがわからないというのが現実だと思います。そこで、いくらまでの贈与が相続税対策として有効なのかを具体的な事例を使って説明します。

1.相続税負担率と贈与税負担率を比較する

まず、相続財産と相続税額から相続時に負担する税額が、相続財産の何%を占めるかを計算します。これを相続税負担率と言います。
次に贈与税が贈与財産の何%を占めるかを計算します。これを贈与税負担率と言います。
この相続税負担率以下の贈与税負担率での贈与が、相続税よりも安い贈与税での財産移転であり、つまり相続税対策として有利ということになります。

2.具体例による検討

以下の条件で相続税負担率と贈与税負担率を比較して、相続税対策として有効な贈与金額を確認しましょう。

家族構成    本人、妻、子供2人、孫4人
相続財産    2億円(妻が財産の半分である1億円を相続する)
相続税額    2,850万円(配偶者の税額軽減適用前の税額)
                  1,425万円(配偶者の税額軽減適用後の税額)

ここで、相続税額を配偶者の税額軽減適用前で考えるべきか、適用後で考えるかについては、家庭の状況によりますので一概には決められませんが、適用後で考えるのが一般的です。

相続税負担率 1,425万円/2億円=7.1%

よって、相続税負担率7.1%>贈与税負担率6.3%(表1、表2の深緑色の囲み)となる300万円以下の贈与が相続税対策として有効です。

<表1> 贈与税負担率(一般の贈与)

贈与財産(A) 贈与税(B) 負担率(B)/(A)
110万円 0万円 0%
200万円 9万円 4.5%
300万円 19万円 6.3%
400万円 33.5万円 8.4%
500万円 53万円 10.6%
600万円 82万円 13.7%
700万円 112万円 16.0%

<表2> 贈与税負担率(20歳以上の子、孫への贈与)

贈与財産(A) 贈与税(B) 負担率(B)/(A)
110万円 0万円 0%
200万円 9万円 4.5%
300万円 19万円 6.3%
400万円 33.5万円 8.4%
500万円 48.5万円 9.7%
600万円 68万円 11.3%
700万円 88万円 12.5%

3.贈与による節税効果

300万円以下の贈与が有効ですから、例えば贈与税負担率4.5%である200万円の贈与(贈与税は9万円)で相続税対策をした場合はどうなるでしょうか。
相続税がかからなくなる基礎控除額4,800万円(3,000万円+600万円×法定相続人3人)まで生前贈与をした場合を考えてみましょう。
子供2人と孫4人へ毎年200万円ずつを13年間(最後の13年目は孫4人のみ)にわたって贈与すると、以下のようになります。

贈与財産    1億5,200万円(200万円×6人×12年+200万円×4人×1年)
贈与税額    684万円(9万円×6人×12年+9万円×4人×1年)

ここまで贈与しますと、相続財産は4,800万円(当初の相続財産2億円−贈与財産1億5,200万円)となります。基礎控除額4,800万円以下のため相続税はかかりません。
なお、生前贈与しなければ妻が1億円を相続しますから、妻が亡くなった場合(いわゆる二次相続)には相続税770万円がかかります。しかし、子と孫へ生前贈与をしたことで、その際の相続税もかからなくなります。

  生前贈与しない場合(A) 生前贈与した場合(B) 節税額(A)-(B)
本人の相続税 2,850万円 0万円 2,850万円
妻の相続税 770万円 0万円 770万円
贈与税 0万円 684万円 ▲684万円
合計 3,620万円 702万円 2,936万円

よって、生前贈与による節税効果は2,936万円ということになります。

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