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これだけは知っておきたい!相続・贈与

税理士 深代勝美 掲載日:2011年9月30日
被相続人から同族会社への貸付金がある場合の相続税対策(下)〜会社の解散を利用した場合〜
  税理士 深代勝美

1.7年間繰越できる青色欠損金がない場合

7年間繰越できる青色申告欠損金がない場合には、通常の事業年度では被相続人の貸付金を債務免除してしまうと法人税が課税されてしまいます。
しかし、会社を解散した場合の最終事業年度である、清算事業年度においては、清算による残余財産がないと見込まれる場合には、期限切れの欠損金(欠損が生じてから7年を超えている欠損金など(注1)も損金の額に算入することができますので、債務超過の状態にある法人への貸付金の債務免除益を計上することで相続税対策ができます。

2.会社を解散した場合の税制が改正

2010年10月1日に税制が改正され、会社を解散した場合には、従来は財産課税方式で残余財産が資本金を上回らなければ法人税が課税されませんでしたが、税制改正により通常の所得課税方式に変更された結果、残余財産が資本金を下回っても、法人税が課税されるようになりました。

3.会社を解散・清算しなかった場合

例えば、父親が、会社に対して1,000万円の貸付金があり、相続税の税率は30%とします。
父親の相続発生時まで会社を解散・清算しなかった場合の相続税は下記の通りになります。
貸付金1,000万円×相続税率30%=相続税300万円

4.期限切れ欠損金があり利用できる場合

  1. @ 解散時の貸借対照表が下記のようであったとします。
    現金    0万円 借入金                1,000万円
    資本金等の額      200万円
    利益積立金額    △1,200万円
  2. 清算中の事業年度において父親から借入金について、1,000万円の債務免除を受けたとすると、借入金は1,000万円からゼロになります。また、債務免除を受けた後の利益積立金は△1,200万円から△200万円になります。

    清算事業年度の貸借対照表

    現金    0万円 借入金                0万円
    資本金等の額      200万円
    利益積立金額    △200万円
  1. 事業年度末に見込まれる残余財産の額(現金0万円=借入金0万円)により、残余財産の額はありませんから、期限切れの欠損金の利用が出来ます。
  2. 課税所得1,000万円  −  期限切れ欠損金1,000万円  =  0
  3. 法人税額  なし

この場合ですと会社を清算することにより、父親から法人への貸付金が1,000万円−1,000万円=0万円となり相続税額は1,000万円×30%(相続税率)=相続税300万円で、会社を解散しなかった、ケース1に比べ300万円相続税対策ができたことがわかります。

5.期限切れ欠損金はあるが利用できない場合

借入金を1,000万円免除した結果、清算事業年度末に見込まれる残余財産の額が、現金100万円あって、借入金などの負債がゼロであれば、残余財産を株主に配分できることになりますので、期限切れの欠損金の利用が出来ません。
その場合には、債務免除益1,000万円に法人税、住民税、事業税課税されますので、中小企業の軽減税率を考慮しない実行税率41%(注2)で計算すると法人税額等は1,000万円×41%  =  410万円となります。

したがって、相続税は300万円減少しますが、代わりに法人税が410万円発生することになり、節税ができたとはいえません。

このように、税制が改正されたことにより、父親から法人への債務を免除すると法人税が課税される場合がありますので、注意して検討する必要があります。

(注1)  具体的には、法人税別表5(1)の期首現在利益積立金マイナス金額から法人税別表7(1)の期首控除未済欠損金を控除して求めます。
(注2)  中小法人についての実行税率は正確には、イ、課税所得が400万円以下24.87%  ロ、400万円超800万円以下26.87%  ハ、800万円超40.87%です。

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