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これだけは知っておきたい!相続・贈与

税理士 深代勝美 掲載日:2012年6月29日
相続人が複数いる場合の消費税の判定
  税理士 深代勝美

相続により被相続人の不動産賃貸業を複数の相続人で承継した場合の、相続人の消費税の納税義務について説明します。

例:・相続発生を2012年6月15日

・2010年(基準期間)の被相続人の課税売上の内訳
物件A・・・ 課税売上1,500万円 合計2,900万円
物件B・・・ 課税売上1,200万円
物件C・・・ 課税売上200万円

1.2012年について

  1. 2012年が課税事業者に該当するか否かの判定
    相続があった年については、被相続人の基準期間(2年前の期間。この場合は2010年)の課税売上高のみを基に判断します。相続人が以前より所有する物件の課税売上高と合算して判断することはありません。
    ただし、相続人自身の基準期間の課税売上高が1,000万円超あり、元々課税事業者であればこの判定に関係なく課税事業者となります。

    (1) 2012年12月31日までに分割が決まった場合
     →各相続人が相続により取得した物件の2010年の課税売上高によって判断します。
      配偶者・・・物件A取得=基準期間の課税売上高1,500万=2012年課税事業者
      長 男・・・物件B取得=基準期間の課税売上高1,200万=2012年課税事業者
      次 男・・・物件C取得=基準期間の課税売上高200万=2012年免税事業者

    →被相続人が課税事業者であっても、相続人が1,000万円以下の課税売上高の物件を相続した場合には、免税業者となります。

    (2) 2012年12月31日までに分割が決まっていない場合
    →各相続人が法定相続分によって取得したものとして課税売上高を計算します。
      1,500万+1,200万+200万=2,900万(被相続人の2010年課税売上高合計)
      配偶者・・・2,900万×1/2=1,450万=2012年課税事業者
      長 男・・・2,900万×1/4=725万=2012年免税事業者
      次 男・・・2,900万×1/4=725万=2012年免税事業者
     →12月31日まで未分割の場合は、法定相続割合で計算した課税売上高で課税事業者の判定をします。

  2. 2012年の課税売上高とすべき売上高の計算

    (1) 2012年に新たに課税事業者となった場合
      上記1の判定によって、新たに課税事業者に該当することになった場合、2012年分の消費税の申告が必要となりますが、その際の課税売上高は、次の(イ)(ロ)の合計となります。

    (イ)被相続人から相続した物件の2012年6月16日〜12月31日までの課税売上高
    (ロ)相続人自身の所有する物件の2012年6月16日〜12月31日までの課税売上高
    ここでの注意点は、「課税事業者となるのは6月16日から」であるということです。
    1月1日から6月15日までは免税事業者であるため、その期間の売上については申告の対象とはしないことに気を付けてください。

    (2) 相続人が元々課税事業者だった場合
    相続人自身の基準期間の課税売上高が1,000万円超あり、元々課税事業者である場合は、2012年分の消費税の申告が必要となりますが、その際の課税売上高は、次の(イ)(ロ)の合計となります。
    (イ)被相続人から相続した物件の2012年6月16日〜12月31日までの課税売上高
    (ロ)相続人自身の所有する物件の2012年1月1日〜12月31日までの課税売上高

2.2013年について

  1. 2013年が課税事業者に該当するか否かの判定
      相続開始の年の翌年(2013年)が課税事業者に該当するかどうかの判定は、被相続人の基準期間(2011年)の課税売上高と、相続人自身の基準期間の課税売上高の合計を基に判断します。(今回は相続人自身の元々の課税売上は無いと仮定します)。
    例:2011年(基準期間)の被相続人の課税売上の内訳
    物件A・・・ 課税売上1,600万円 合計3,200万円
    物件B・・・ 課税売上1,300万円
    物件C・・・ 課税売上300万円

    (1) 2012年に分割が決まっている場合
    相続があった年に分割が決まっている場合には、各相続人が相続により取得した物件の2011年(基準期間)の課税売上高によって判断します。

    (2) 2013年に分割が決まった場合
     相続開始の翌年(2013年)に分割が決まった場合でも、相続開始の年の年末(2012年末)までに分割が決定したのか、決定しなかったのかで判断します。つまり、2013年に分割が決まった場合も、消費税の判定は上記1の2012年末に分割が決まっていない場合と同様に判断します。
     例えば、2013年2月15日に、遺産分割協議により、ABCすべての物件を長男が取得した場合の判定も、
      1,600万+1,300万+300万=3,200万(被相続人の2011年課税売上高合計)
      配偶者・・・3,200万×1/2=1,600万=2013年課税事業者
      長男・・・・3,200万×1/4=800万=2013年免税事業者
      次男・・・・3,200万×1/4=800万=2013年免税事業者 となります。

    全物件を長男が取得するので、その基準期間である2011年の課税売上の合計は3,200万となることから、素直に考えると2013年は課税事業者になると判断できます。
    しかし、納税義務の有無については、「その年の前年の12月31日の現況に基づいて判定すべきである」という考え方が現在の指針となっているので、相続開始の年の年末である2012年末時点で未分割であれば、法定相続分に応じて判定することとなり、長男は2013年も免税事業者となります。

    2013年に分割が決まらなかった場合
     分割が決まらなかった場合についても、前年末の12月31日においては未分割という状況は(1)と同じなので、上記(1)と同じように判断をします。
    ※2014年分以降も同様です。

  2. 2013年の課税売上高とすべき売上高の計算
    上記(1)の判定によって、2013年に課税事業者に該当することになった場合、消費税の申告が必要となりますが、その際の課税売上高は、次の(1)(2)の合計となります。

    (1) 被相続人から相続した物件の2013年1月1日〜12月31日までの課税売上高
    (2)相続人自身の所有する物件の2013年1月1日〜12月31日までの課税売上高
      ※2014年分以降も同様です。

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