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これだけは知っておきたい!相続・贈与

税理士 深代勝美 掲載日:2012年11月30日
庭内神し(ていないしんし)の新たな取扱い
-非課税財産に-
  税理士 深代勝美

1.庭内神し(ていないしんし)とは

一般に、屋敷内にある神の社や祠等といったご神体を祀り日常礼拝の用に供していたものをいい、ご神体とは不動尊、地蔵尊、道祖神、庚申塔、稲荷等で特定の者または地域住民等の信仰の対象とされているものをいいます。

2.今までの取扱い

相続税法上、墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに"準ずるもの"に係る価額は課税価格に算入されません。しかし、墓所や霊びょうには、墓地や墓石のほか、それに要する土地等も含まれているとされるが、"準ずるもの"については、土地等を含む記載はありません。要するに、「庭内神し」の敷地については、「庭内神し」とその敷地とは別個のものであり、相続税法第12条第1項第2号の相続税の非課税規定の適用対象とはならないものと取り扱われてきました。

3.変更後の取扱い

しかし、今般の判決では、庭内神しとその敷地は別個のものであるものの、下記のような3つの観点から社会通念上一体の物といえるのであれば、その敷地等も"準ずるもの"に含まれると解すべきとし、非課税財産に該当することになりました。

  1. 「庭内神し」の設備とその敷地、附属設備との位置関係やその設備の敷地への定着性その他それらの現況等といった外形からの判断
  2. その設備及びその附属設備等の建立の経緯・目的からの判断
  3. 現在の礼拝の態様等も踏まえた上でのその設備及び附属設備等の機能の面から、その設備と社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある相当範囲の敷地や附属設備であるか否かの判断

上記3つの観点をより具体的に、今回の東京地裁の判決の事案に照らし合わせると以下のようになります。

  1. 庭内神しがコンクリート打ちの土台により固着されてその敷地となっており、その周りにはその附属設備として石造りの鳥居や参道が設置され、砂利が敷き詰められるなど、外形上、小さな神社の境内地の様相を呈していること
  2. 庭内神しやその附属設備は、その敷地から移設されたこともなく、その建立の経緯をみても、この敷地を非課税財産とする目的でこれらの設備の建立がされたというわけでなく、庭内神し、附属設備及びその敷地といった空間全体を使用して日常礼拝が行われていること(例えば、仏壇や神たな等だけが置かれていて、その敷地全体やその家屋部分全体が祖先祭祀や日常礼拝の利用に直接供されていない単なる仏間のようなものとは異なります)。

また、注意点としては「庭内神し」の敷地は移設されたことがないことが条件となっており、今後非課税規定の対策として、「庭内神し」の敷地を移設して対策を取ったとしても、非課税規定が適用されるかというと必ずしもそうではありません。

4.更正の請求の取扱い

相続税の申告済の者でも、対象となる土地がある場合は変更後の取扱いを適用できる。平成23年12月2日以後の申告期限に係る分はその申告期限から5年以内、同日前の申告期限の分はその1年以内が更正の請求期間となっています。
ただ、判決で取扱いが変更されたことに基づく請求のため、請求期間を徒過していても、税額等が異なる扱いを受けることを知った日の翌日から2か月以内であれば、更正の請求ができます。

5.具体例

例えば、先祖代々から自宅敷地にある庭内神しの敷地について、そこには整然とした参道を設け、砂利道でもすれば、立派な庭内神しになるでしょう。自宅の一部が庭内神しの敷地として非課税になり、残りの自宅敷地部分は小規模宅地の80%評価減、その結果、相続税の課税価格が減ることになります。

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