相続.co.jpは、相続・遺言・贈与など、相続に関連する情報を配信しています。
TOP > 相続プロのアドバイス > これだけは知っておきたい!相続・贈与
サイトメニュー
譲る・分ける
納める
遺す
備える
トラブル
知る
学ぶ
土地の適正評価をマスターする動画セミナー

相続WEB

相続のことなら専門家にご相談ください 相続プロフェッショナルデータファイル 相続の専門家をお探しの方はこちら!

これだけは知っておきたい!相続・贈与

税理士 深代勝美 掲載日:2013年4月30日
相続税の税務調査の事前対処方法
  税理士 深代勝美

1.相続調査の概要

相続税の税務調査において申告者は少ないが、調査の割合は非常に高い特徴が次のようにあります。

(1)相続税の申告が必要な割合・・・4.2%
(2)相続税の調査が入る割合・・・・約 30%
(3)調査で否認される割合・・・・・85.1%
(4)否認される財産の構成・・・・・現金預金 34%
                ・・・・・有価証券 19%(金融資産が多い)

また、税務調査が入った場合には 8 割以上の比率で否認されており、しかも相続財産に占める割合は不動産が高いにもかかわらず、否認される財産としては現預金・有価証券などが多いことが指摘できます

2.調査対象に選定される相続税の申告書とは

税務調査の目的は、申告すべき財産が漏れなく計上され相続税の課税が正しく行われているか、申告は適切か否かを調べることにあります。
そのため、税務署は調査前に、申告された内容を調査し、確認をします。事前に銀行や証券会社に書面などで照会する場合もあります。この調査の中で、疑問や不審な点のある申告書は、調査対象に選ばれています。また、遺産総額が高額な人はあまり問題が無い場合でも選ばれるようです
税務調査は、事前に調査し確認した内容を踏まえて、申告書が事実と矛盾がないかを精査していきますが、土地や建物のように目で見れば解かるものではなく、現金、預金、株式、など隠しやすく見つかりにくい財産を中心に調査します。本人名義だけではなく、妻名義の預金や子供名義の預金も調査の対象になります。
したがって、税務調査を受けない申告書とは、調査官の調査の目的と意図を良く理解して、調査官が疑問や不審に感じると予想される事項を税理士が過去の経験と勘で調べ、十分な資料添付と説明を行った申告書です。
そのためには、次の税務調査の意図と調査官の確認事項を理解し、書面添付制度を利用することが大事です。

3.相続税の調査の意図

  1. 被相続人の職歴や収入の確認
    相続人の職業や収入を確認して、財産が妥当か、などの推定を行います
  2. 相続人の職歴や収入の確認
    相続人(配偶者、子供)の預金が本当に本人のものであるかどうか、収入の裏付けのある預金かどうか、を確認し名義は配偶者や子・孫などの名義の口座であるが、実質的には、それら親族に名義を借りているのに過ぎないで被相続人の財産でないかを調べます
  3. 被相続人の趣味の確認
    本人の生活ぶり、派手か地味かなどを聞きながら、趣味がゴルフであれば、ゴルフ会員権、骨とう収集であれば、骨とう品などの財産が相続財産として計上されているかを調べます。
    これら、相続税の調査のポイントを一覧にしますと次表の様になります
相続税の調査の意図
内容 確認事項 調査官の意図
被相続人の職歴 収入と金融資産などの財産 本人の収入に比べて、
残した財産が妥当か
相続人の職歴
相続人の家族の職歴
収入と金融資産などの財産 配偶者、子供の預金が多額にあるが、
本人の収入と比べて、
収入の裏付けのある預金かどうか
被相続人の趣味 お金の使い方 本人の生活ぶり、派手か地味か
ゴルフ会員権や書画骨董はないか
亡くなった時の
状況
病名、病院名
入院の期間、時期
死亡時前後の現金の状況
被相続人の意思能力の確認
死亡前のお金の管理者、使い方、
預金を引き出した使い道
預金の管理 家族名義預金
お金の管理者
誰がお金を管理しているか
家族名義預金の本当の所有者の確認
通帳や印鑑の
確認
書庫、金庫(現場確認) 重要書類の置き場所、
申告されていない財産の資料を見つけたい
生活費 月の生活費は幾らか 生活費の負担者は誰か
隠し財産になってないか
貸金庫 重要書類の保管場所 貸金庫の使用料は通常、
預金から引き落とされるので隠すのは難しい

4.調査官の調査での確認事項

  1. 毎年の所得から推定し金融資産や財産の少ない場合
    所得が多い人は所得に応じて多くの財産を残しているはずです。金融資産は簡単に隠すことができるため、所得の現状から金融資産や財産が少ない申告書は調査対象に選定されます。
  2. 土地や株の多額な売却、死亡直前の多額な預金の引き出し
    [1]生前に土地の売却をしているなど多額な資金の移動があった場合には、10年や20年も古い時期でも、売却代金がどこに使われたか調査されます。
    [2]亡くなる前5年間ぐらいの期間にわたって引き出した50万円以上の金額については、何に使ったのか質問されます。隠し預金や家族名義の預金になっていないかを確認するためです。
    [3]相続開始直前の多額な現金を引き出した預金があるのに、その説明資料や手許現金として申告が無い場合も調査されます。
  3. 家族名義の預金等のチェック行われていない場合
     配偶者や子供の所得が少ないのに、多額な家族名義の預金があるのに、被相続人の資金を源泉にしたものか否かの検討が無い申告書は調査対象に選定されます。
  4. 贈与したつもりでは認められません
    贈与の場合には、[1]贈与税の申告書[2]贈与契約書[3]預金管理処分を子供がしていたかなど、問題はないかを細かい検討や説明がされてない申告書は調査対象に選定されます。
  5. 多額な借入金があるのにそれに見合う財産がない場合
    借入金があれば、それ見合う建物や土地などの財産があるはずです。それなのに、借入金額と財産額が対応しない申告書は調査対象に選定されます。
  6. 財産評価の根拠資料がない場合や説明が不十分な場合
     土地の評価については、利用方法、実測面積と公簿面積との比較、固定資産税名寄せ帳や登記事項証明書などによる土地の網羅性、広大地評価など特殊な評価方法を採用した場合の根拠資料などが欠かせません。また、家屋については、貸家の入居状況など、各種財産の評価に係る根拠資料等の添付が少ない申告書は適正な評価が行われているか不明なので調査対象に選定されます。
  7. 税法適用に誤りのある申告書の場合
    小規模宅地の評価減は、その取り扱いが複雑で、誤りが多くなっています。それ以外も、明らかな税法適用に誤りがあれば税務署は是正する義務がありますから、このような申告書は調査対象に選定されます。

5.書面添付制度の利用

十分な説明をした申告を作成したつもりでも、税務署の調査官が疑問点や不審事項がある場合、書面添付制度を利用しないと質問を受けることが出来ず、その結果、税務調査に移行してしまう恐れがあります。

  1. 書面添付制度の意義
    [1]「計算し、整理し、または相談に応じた事項」を明らかにし
    [2]「申告書の適正性を表明」する書面を添付する制度です。
  2. 書面添付制度の目的
    [1]税理士が独立した公正な立場において高度の注意義務を果たしたこと
    [2]誠実義務と忠実義務(説明責任)を尽くしたことを明らかにすること
  3. 意見聴収の目的
    [1]「税務執行の円滑化と簡素化」を図るため・・・意見聴取により疑問点を解消させることにより、調査省略につなげようとするものです。また、調査に移行した場合でも、疑問点が明確になっているので、調査の簡素化が図られます。
    [2]意見聴取後に提出された修正申告については原則として、加算税は賦課されないようです。
    [3]「意見聴取結果についてのお知らせ」(いわゆる「調査省略通知」)は、実際に実行され、「調査省略通知」は、納税者からも高い期待もたれています。

第72回 2013年度小規模宅地等の特例の改正 (2013年3月26日)
第71回 教育資金の一括贈与の非課税について (2013年2月26日)
第70回 書面添付制度のメリット拡大 (2013年1月31日)
第69回 信託を利用した生前贈与 (2012年12月26日)
第68回 庭内神し(ていないしんし)の新たな取扱い (2012年11月30日)
第67回 相続発生後の不動産管理会社の見直し (2012年10月31日)
第66回 賃貸住宅の消費税と増税対策のポイント (2012年9月30日)
第65回 相続税更正の請求が改正 (2012年8月30日)
第64回 二次相続税対策について考える (2012年7月31日)
第63回 相続人が複数いる場合の消費税の判定 (2012年6月29日)
第62回 死因贈与契約による遺産承継 (2012年5月31日)
第61回 賃貸住宅を建築した場合の固定資産税 (2012年4月30日)
第60回 不動産管理会社を活用した節税 (2012年3月30日)
第59回 不動産所得の確定申告 (2012年2月28日)
第58回 2012年度税制改正大綱について (2012年1月31日)
第57回 貸店舗を建設した際、協力金の税務上の扱い (2011年12月28日)
第56回 居住形態と小規模宅地の特例の適用 (2011年11月28日)
第55回 相続税の取得費加算を有効に使う (2011年10月31日)
第54回 同族会社への貸付金がある場合の相続税対策(下) (2011年9月30日)
第53回 同族会社への貸付金がある場合の相続税対策(上) (2011年8月31日)
第52回 サービス付き高齢者住宅供給促進税制について (2011年7月29日)
第51回 成年後見制度と相続対策 (2011年6月30日)
第50回 小規模企業共済を利用した節税対策 (2011年5月30日)
第49回 相続時精算課税制度の活用方法 (2011年4月28日)
第48回 税制改正で生前贈与がより重要に (2011年3月31日)
第47回 2011年度税制改正に対応した相続税対策 (2011年2月28日)
第46回 子と孫への贈与に優遇税率が新設される (2011年1月31日)
第45回 2011年度税制改正 (2010年12月29日)
第44回 法定相続分の譲渡 (2010年11月30日)
第43回 不動産管理会社は管理から所有に (2010年10月29日)
第42回 不動産管理会社を利用した相続対策 (2010年9月30日)
第41回 2010年度の消費税改正について (2010年8月31日)
第40回 相続があった場合には消費税の申告 (2010年7月30日)
第39回 遺産分割と相続税の申告 (2010年6月30日)
第38回 賃貸マンション新築中に相続が発生した場合の評価 (2010年5月24日)
第37回 延納利子税・納税借入金の利息を経費にする! (2010年4月30日)
第36回 小規模宅地等の特例の改正 (2010年3月31日)
第35回 信託を利用した遺言の方法 (2010年2月28日)
第34回 住宅取得等資金の贈与の改正案について (2010年1月31日)
第33回 定期金の相続税評価と改正 (2009年12月31日)
第32回 相続放棄の申述と相続税の基礎控除 (2009年11月30日)
第31回 遺留分の減殺請求はどのようにするのか (2009年10月30日)
第30回 遺留分の減殺請求をどのように解決したら良いか (2009年9月30日)
第29回 相続税の延納とは? (2009年8月31日)
第28回 住宅取得等資金の贈与「500万円非課税制度」 (2009年7月31日)
第27回 相続税法における養子の取り扱いとは? (2009年6月30日)
第26回 相続税の税務調査のポイント (2009年5月29日)
第25回 生命保険はどのように課税されるか (2009年4月30日)
第24回 遺留分ってどんな制度 (2009年3月31日)
第23回 生前贈与する場合、いくら贈与するのが有利か (2009年2月28日)
第22回 銀行の取引停止〜本人名義の預金が凍結される〜 (2009年1月30日)
第21回 非上場株式等に係る相続税の納税猶予 (2008年12月30日)
第20回 新課税方式で相続税対策はどうかわるか (2008年11月28日)
第19回 遺言と異なる遺産分割の可能性 (2008年10月31日)
第18回 債務(借入金)の相続とは? (2008年9月30日)
第17回 農地等を相続した時の納税猶予 (2008年8月31日)
第16回 建物の利用状況で、土地の相続税評価額が変わる。 (2008年7月28日)
第15回 相続税は親子別居していると高くなる? (2008年6月30日)
第14回 遺言の必要性 (2008年5月30日)
第13回 相続税の調査のポイント (2008年4月28日)
第12回 相続税の課税方式が変更になる? (2008年3月28日)
第11回 広大地評価が利用できると、相続税が安くなる (2008年2月27日)
第10回 親族間の借金と贈与税 (2008年1月29日)
第9回 遺言書の種類と方法 (2007年12月28日)
第8回 物納・延納の改正 (2007年11月30日)
第7回 相続時精算課税制度を利用した贈与方法 (2007年10月30日)
第6回 賢い相続税対策の取り組み方 (2007年9月30日)
第5回 税務署からの「お尋ね」についての対応 (2007年8月23日)
第4回 相続した土地を売却した場合、譲渡税はどうなるか? (2007年7月31日)
第3回 申告期限までに、遺産分割がまとまらなかったら? (2007年6月26日)
第2回 申告後に、土地評価で疑問を感じたら? (2007年5月25日)
第1回 夫婦間の贈与は税金が安い (2007年4月27日)