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これだけは知っておきたい!相続・贈与

税理士 深代勝美 掲載日:2013年12月30日
『国外財産調書』の提出制度について
  税理士 深代勝美

1.制度の概要

2012年度の税制改正により創設された「国外財産調書」制度ですが、2013年12月31日における国外財産の保有状況を記載して、翌年3月15日(本年は2014年3月17日)までに提出することになります。ここでその内容を確認していきたいと思います。

【これまでの国外財産把握の仕組み】
財産及び債務の明細書 合計所得金額が2000万円を超える個人が、年末時点で保有する財産(国内・国外を問わず)および債務の種類・数量・価額などの明細を税務署に提出
国外送金等調書 1回の入金金額や送金金額が100万円を超える取引について、金融機関が入送金者・金額・目的などを税務署に報告する


【2013年末からの『国外財産調書』制度】
国外財産調書 対象者 毎年12月31日時点で、5000万円を超える国外財産を所有する個人
提出時期 翌年3月15日(2013年分は14年3月17日)
記載内容 氏名・住所・電話番号・国外財産の種類・用途(一般用か事業用)、数量、価額など
ペナルティー 虚偽記載や正当な理由なく提出しなかった場合には1年以下の懲役または50万円以下の罰金

2.『国外財産調書』の提出義務者

各年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する日本の居住者(「非永住者」の方を除きます。)が提出義務者です。
また、5,000万円を超えるか否かは、借入金等の負債の金額を差し引かずに財産のみの価額の合計で考えます。

3.対象となる国外財産とは

「国外財産」とは、その名の通り「国外にある財産」を言います。国外にあるかどうかの判定については、財産の種類ごとに行うこととし、例えば次の具体例のように、その財産の所在、その財産の受入れをした営業所または事業所の所在などによることとなります。

【国外財産の具体例】
具体例 判定
国外にある不動産(土地や建物) 国外財産
国外で契約した生命保険 国外財産
国外で保管している貴金属・絵画 国外財産
アメリカの銀行のハワイ支店の外貨預金口座 国外財産
アメリカの銀行の東京支店の外貨預金口座 国内財産
日本の銀行のスペイン支店の外貨預金口座 国外財産
日本の証券会社で開設した口座にあるハンガリー国債 国内財産
ブラジルの証券会社で開設した口座にあるブラジル株式 国外財産

4.国外財産の価額

国外財産の価額は、その年の12月31日における『時価』または『見積価額』によることとされています。また、財産の価額が外国通貨で表示される場合のその邦貨換算は、同12月31日における外国為替相場により換算することとされています。
共有の財産の価額は、その財産の価額を共有者の持分に応じて按分した価額とします。

5.『国外財産調書』の記載事項

『国外財産調書』には、提出者の氏名・住所に加え、国外財産の種類、数量、価額、用途(一般用および事業用)、所在等を記載することになります。
 なお、現金および貴金属類以外の動産については、1個の価額が10万円未満のものは除外して記載することとされています。

6.所得税法上の『財産及び債務の明細書』との関係

合計所得金額が2,000万円を超え、なおかつ国外財産を5,000万円超所有している場合には、『財産及び債務の明細書』と『国外財産調書』との提出義務が重複することになりますが、その場合にも両方を提出することが必要です。注意が必要なのは、仮に国外財産を記載した『財産及び債務の明細書」を提出した場合であっても、『国外財産調書」の提出が免除されている訳ではないということです。
また、合計所得金額は2,000万円以下で、『財産及び債務の明細書』の提出義務が無くとも、国外財産が5,000万円超ある方は、『国外財産調書』の提出義務がありますので、相続等で多額の国外財産を引き継がれた方などは注意が必要です。

7.加算税の優遇措置・加重措置

修正申告等により増加した税額に課される過少申告加算税や無申告加算税について下記のような優遇措置や加重措置が設けられています。
優遇措置については所得税・相続税ともに規定されておりますが、加重規定は所得税についてのみ規定されており、相続税については規定されておりません。

優遇措置 加重措置
申告漏れが生じたときに、優遇措置・加重措置が適用される場合 期限内に提出された『国外財産調書』に修正申告等の基因となる国外財産の記載がある場合 期限内に『国外財産調書』の提出がない場合
または
期限内に提出された『国外財産調書』に修正申告等の基因となる国外財産の記載がない場合(記載が不十分であると認められる場合を含む)
優遇措置・加重措置の対象となる税額 ・国外財産に係る所得税
・国外財産に対する相続税
・国外財産に係る所得税
優遇措置・加重措置の内容 過少申告加算税または無申告加算税が5%軽減される 過少申告加算税または無申告加算税が5%加重される

8.故意に虚偽の記載をしたり、不提出だった場合の罰則

『国外財産調書』に偽りの記載をして提出した場合または『国外財産調書』を正当な理由がなく提出期限内に提出しなかった場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。
また、『国外財産調書』については、国税職員の調査の対象になり、国税職員の質問検査権が定められています。

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