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これだけは知っておきたい!相続・贈与

税理士 深代勝美 掲載日:2014年4月30日
賃料の帰属先は遺産分割協議書に記載できる
  税理士 深代勝美

1.遺産分割協議書の作成までに発生した賃料等の帰属先

相続が発生して、遺産分割協議が成立し遺産分割協議書が作成されるまでには、通常その作成をするまでには数か月間かかります。亡くなった人が不動産オーナーの場合、相続発生から遺産分割協議書作成までの間も賃料等が発生しますが、その賃料等の帰属について最高裁判所の規定通り法定相続割合で分けるとしていますが、遺産分割協議書で賃料等の取得者を決めることは可能です。

2.最高裁の判例が全てではない

判例によれば、『遺産は、相続人が数人ある時は、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有の属するものですから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生じる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的取得するものと解するのが相当』とし、遺産分割は、相続開始の時に遡ってその効力を生じるものであるが、各共同相続人がその法定相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した債権の帰属は、後の遺産分割の影響を受けない、としている(最高裁第1小法廷平成17年9月8日判決)。
この判決では、まず、@賃貸不動産である土地建物と賃貸不動産からの賃料収入は別の財産であるから、賃貸不動産の帰属を決めても賃料の帰属を決めたことにはならない。また、A相続開始日まで遡るとされる遺産分割の効力が、賃貸不動産に及んでも賃料債権には及ばないとされました。

3.最高裁判決の再確認

まず、最高裁判決は次の通り、大阪高裁では遺産分割決定で賃貸不動産の帰属人は決定したが賃料の帰属は決めていませんでしたのでその帰属が争われました。
判例「(1)大阪高等裁判所は,2000年2月2日,同裁判所1999年(ラ)第687号遺産分割及び寄与分を定める処分審判に対する抗告事件において,本件各不動産につき遺産分割をする旨の決定(以下「本件遺産分割決定」という。)をし,本件遺産分割決定は,翌3日,確定した。
 (2) 本件口座の残金の清算方法について,被上告人と上告人らとの間に紛争が生じ,被上告人は,本件各不動産から生じた賃料債権は,相続開始の時に遡って,本件遺産分割決定により本件各不動産を取得した各相続人にそれぞれ帰属するものとして分配額を算定すべきであると主張し,上告人らは,本件各不動産から生じた賃料債権は,本件遺産分割決定確定の日までは法定相続分に従って各相続人に帰属し,本件遺産分割決定確定の日の翌日から本件各不動産を取得した各相続人に帰属するものとして分配額を算定すべきであると主張した」
 また、大阪高裁は賃料の帰属者を「遺産から生ずる法定果実は,それ自体は遺産ではないが,遺産の所有権が帰属する者にその果実を取得する権利も帰属するのであるから,遺産分割の効力が相続開始の時にさかのぼる以上,遺産分割によって特定の財産を取得した者は,相続開始後に当該財産から生ずる法定果実を取得することができる」。としていましたが、今回の最高裁の判決で相続開始日まで遡るとされる遺産分割の効力が、賃貸不動産に及んでも賃料債権には及ばないとされました。

つまり、最高裁の判決は、賃貸不動産の帰属は遺産分割で決まっているが、賃貸不動産の賃料の帰属が決まっていない場合の判決であることを理解することが大切です。

4.最高裁判例後の遺産分割協議書の書き方

次に揚げる財産は、相続人 長男 田中太郎が取得する。

不動産
    (1)土地(賃貸マンション)
      所在:豊島区南池袋2丁目○○○番地
      地目:宅地
      地積:400u
    (2)建物(賃貸マンション)
      所在:豊島区南池袋2丁目○○○番地
      種類:居宅
      構造:軽量鉄骨造亜鉛メッキ鋼板葦2階建
      床面積:1階 109.85u
             2階  85.08u

上記のように賃貸不動産の帰属者を決めた後に、次の事項が書かれるようになりました。

「@ 前項の定めにかかわらず、相続人のいずれかが、被相続人の遺産に関して2014年3月30日(相続開始日)から2014年10月末日(遺産分割確定日)までに現実に受領した賃料その他の利益については、各自4分の1ずつ取得するものとする。
第一項の定めにかかわらず、2014年3月30日から2014年10月末日までに被相続人の遺産の維持管理のために支出した別紙費用目録記載の費用については、各自4分の1ずつ取得するものとする」。

このように、遺産分割協議書の作成までに発生した賃料等が、誰に帰属するかについては、法定相続割合で取得する文面でなければいけないのでしょうか。

5.賃貸不動産の賃料を遺産分割の対象としたい場合

遺産分割協議書の作成までに発生した賃料等は、相続財産とは別個の財産であることは今回の最高裁の判例で決まりましたし、賃料が当然に遺産分割の対象となるものではないとしています。しかし、相続人全員が遺産分割の対象に含めることに合意した場合には遺産分割の対象にできるかどうかがポイントです。

この点、東京高裁では下記のように判決が出ています。
 「相続開始後遺産分割までの間に相続財産から生じる家賃は、相続財産そのものではなく、相続財産から生じる法定果実であり、… 相続財産とは別個の共有財産であり、その分割ないし清算は、原則的には民事訴訟手続によるべきものである。但し、相続財産から生じる家賃が相続財産についての持分と同率の持分による共有財産であり、遺産分割手続において相続遺産と同時に分割することによって、別途民事訴訟手続きによるまでもなく簡便に権利の実現が得られるなどの合理性があることを考慮すると、相続財産と一括して、分割の対象とする限り、例外的には遺産分割の対象とすることも許容されるものと解すべきである。この場合、当事者の訴権を保障する観点から、相続開始後遺産分割までの間の家賃を遺産分割の対象とするには、当事者間にその旨の合意が存在することが必要とすると解するのが相当である(東京高決1988年1月14日)」。

つまり、賃料は賃貸不動産と別個の共同財産であるが、相続人の全員の同意があれば遺産分割協議書に記載できます。
 例えば、遺産分割協議書の作成までに発生した賃料等を、各物件を相続したそれぞれの相続人に帰属させたい場合には、遺産分割協議書に「今回の相続発生から本遺産分割協議書作成までの間に、各遺産について発生した収益及び費用については、各遺産の相続人が取得及び負担するものとする」。と記載すればよいことになります。このような、記載を行わない場合には、法定相続割合で分けないといけないことになります。

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