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これだけは知っておきたい!相続・贈与

税理士 深代勝美 掲載日:2015年6月30日
親名義の建物に、子が資金を出して増築した場合の税金取扱いについて
  税理士 深代勝美

1.増築の際の登記の取扱い

建物を増築する場合、建築資金を誰が出したかには関係なく、その増築部分は増築前の家屋の所有者の名義として登記されます。これを「不動産の附合」と言います。

2.贈与と見られる場合

例えば、現在親子で同居している親名義の平屋(時価500万円)が手狭になったので、子が建築資金を1,000万円支出して2階建に増築するとします。
前述のように、この増築については、その資金を子が支出したということには関係なく、その増築部分は増築前の家屋の所有者である親のものとして登記されます。
つまり、親は増築部分の建築資金を出していないのに、登記上いやおうなしに増築部分を取得することになり、このままでは子が支出した増築資金は、子から親への贈与と扱われてしまいます。

3.贈与とならないために

親への贈与税が課税されないためには、図のように増築前の家屋の時価(500万円)と増築資金(1,000万円)の按分計算によって、親の持分が1/3、子の持分が2/3の親子共有になるように登記すれば、贈与税の問題はありません。
登記上は、まず増築登記が家屋の所有者である親の名義で行われます。実際にはこの増築資金は子が負担しているので、本来は子が親に対して増築資金相当の償金請求権(お金を返してもらえる権利)を有するのですが、この債務の返済に変えて家屋の所有権の一部を親から子に代物弁済します。登記手続としては、按分計算した子の持分2/3を、代物弁済を登記原因として名義変更の登記を行います。
この按分をする際の既存住宅の時価は、建築した当時の建築費から減価償却の累計額を控除した未償却残高をもって時価とするのが望ましいのですが、建築費が不明の場合には、固定資産税評価額を時価とすることも、実質価値と著しい差異がなければ認められます。

4.譲渡として扱われないか

親の単独名義から、子との共有名義にすると、父親の持分が減った部分について、子に対する譲渡で所得税が課税されないかという問題が生じます。
親は既存住宅の3分の2(500万円×2/3=333万円)を子に移転し、親は自分が負担すべき増築資金(1000万円×1/3=333万円)を子に負担させています。したがって、理論上は、親は既存住宅の3分2の持分を333万円で譲渡したことになるため、譲渡による所得税が課税されます。
しかし、譲渡所得は、売却収入−取得費(未償却残高)で計算されます。ここでは建物の売却価額(時価)は未償却残高を利用しますから、売却収入=取得費となりますので、売却にともなう利益は発生しません。つまり、実際上は、譲渡による所得税は課税されないのです。

5.土地の使用について

登記完了後は、親の土地に子名義の建物が存在することになりますが、この土地をただで利用しても、子への贈与税の課税はありません。親のものをただで利用することは、子であればよくあることですから課税しないことになっています(使用貸借)。なお、税務署への届出も不要です。

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